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シドクリ通信第115号

  • shido-clinic
  • 21 時間前
  • 読了時間: 5分

【新年を迎えて】紫藤昌彦

 当院を開業して29年が過ぎ、来年はいよいよ30年になります。患者さんは絶えず入れ替わっていますが、ずっと通い続けていただいている人もいて、開業当初20代の人は50代になりました。50代の人は80代になり、耳が遠くなり、記憶力が落ち、歩行困難になってきた人もいます。患者さんが自力での通院が難しくなってくると、最近は精神科訪問診療のクリニックを紹介したりしています。精神科医療の形態も多様化してきましたが、超高齢社会の波が当院の周辺まで迫ってきています。

 最近よくある話は、ずっと以前、当院に通院して一度は良くなったのだけど、最近また調子を崩したので、あらためて当院を受診したいという方です。古いカルテは残っていないし、患者さんの名前を聞いても思い出せません。このような人には初診枠をご案内し、精神保健福祉士の山田さんにあらためて生活歴や病歴を聴いてもらい、それでやっと思い出せる人もいますが、思い出せない人もいます。それでも、患者さんは私のことを覚えていてくれて、「あの時、先生にこんなことを言われました」などと聞かされ、私は「そんなこと言ったかなあ」とキョトンとする始末です。でもその時の私はきっとそう思ってアドバイスしたのでしょう。

 高田馬場は若者の町ですので、開業当初はたまたま当院を見つけて飛び込んでくる人や、早稲田大学から紹介されてくる学生さんの診察が楽しみでした。私も当時はまだ若者の延長線上にいたので、診察を通して思春期や青年期の人たちからエネルギーをいただいていましたが、私も齢を重ねるに連れ、若者の扱いが難しくなってきました。それよりも定年退職、役割喪失、家族や友人の死、孤独孤立、老化や体調不良、経済的不安など高齢者特有の悩みの方に共感できるようになってきました。

 もう一つ、大きな変化は、薬なしの患者さんの増加です。私は若い頃は必死に診断を考え、処方の工夫をしていましたが、最近は薬とは関係なく通院される人が増えてきました。薬がほしくて通院する人もいれば、話を聞いてほしくて、あるいは生きている自分を私に報告するために通院する人もいて、患者さんが精神科クリニックに求めるものは人それぞれだということです。


【はじめまして】紫藤佑介

 昨年7月より紫藤クリニックにて水曜日の診療を担当させていただくことになりました紫藤佑介(しどう ゆうすけ)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 名前をご覧になってお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は当院院長・紫藤昌彦の息子になります。もっとも、はじめから父と同じ精神科医を目指していたわけでも、強く勧められたわけでもありません。気づけば精神科医となり、気づけば父のクリニックを手伝う立場になっていました。ただ、精神科医という仕事に最初に関心を持つきっかけが父の存在であったことは間違いなく、その点については今も感謝しています。

 幼少期、父は海外の日本大使館に勤務する医務官をしており、私は1歳から3歳まで中東のヨルダン王国で過ごしました。現地での記憶はほとんど残っていませんが、異文化の中で生活していたという経験は、後になって振り返ると自分の価値観の土台の一部になっているように思います。そのため幼少時は、父の仕事を「外交関係の仕事」と漠然と捉えており、精神科医という職業を明確に意識したことはありませんでした。

 父が精神科医であると実感したのは、紫藤クリニック開業後のことです。その後も実際の診療風景を間近で見る機会はなく、精神科医の仕事を具体的に想像することはありませんでした。転機となったのは高校3年生の春、親しかった同級生が自ら命を絶った出来事です。同世代の友人の死は大きな衝撃で「なぜ人は自ら死を選ぶのか」「同じような出来事を防ぐにはどうすればよいのか」と考えるようになりました。この経験を通じて、父の仕事と結びつき、「人の心に向き合う仕事がしたい」「同じような苦しみを少しでも減らしたい」と考えるようになり、精神科医を志すようになりました。

 そこから受験勉強をして医学部に進学。大学卒業後、初期研修を経て精神科医となり、今年で精神科医歴は12年目になります。

 臨床経験を重ねる中で改めて感じるのは父の継続力と責任感の大きさです。開業以来30年近く、昨年、体調を崩して休みを取るまで、一度も欠勤せず診療を続けてきたと聞き、その重みを実感しています。一方で、年齢的な負担も無視できない時期に差し掛かっており、私が週1回外来を担当することで、少しでも支えになれればと考えています。

 父と私とでは、経験年数や視点、治療の提案が異なる場面もあります。当院ではそうした違いを強みとし、セカンドオピニオンとしてのご相談にも対応します。「今の治療について別の医師の意見も聞いてみたい」「違う視点で整理してほしい」と感じた際には、どうぞ遠慮なくご相談ください。水曜日の診療を通じて、患者様が「ここに来てよかった」と感じられるよう、症状だけでなくその背景や日常生活にも目を向けた丁寧で誠実な診療を心がけてまいります。通院に迷いがある方や、これまでの治療について悩まれている方にとっても、安心してご相談いただける存在でありたいと考えています。どうぞお気軽にお声がけください。今後ともよろしくお願いいたします。


【お知らせ】

 最近の当院の混雑状況ですが、週の前半(月・火・水)は比較的空いていますが、後半(金・土)は混んでいて、予約が取れないことも多くなってきました。受診曜日を選べる方は、なるべく週の前半の受診をご検討ください。

 
 
 

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