シドクリ通信第115号
【新年を迎えて】紫藤昌彦 当院を開業して29年が過ぎ、来年はいよいよ30年になります。患者さんは絶えず入れ替わっていますが、ずっと通い続けていただいている人もいて、開業当初20代の人は50代になりました。50代の人は80代になり、耳が遠くなり、記憶力が落ち、歩行困難になってきた人もいます。患者さんが自力での通院が難しくなってくると、最近は精神科訪問診療のクリニックを紹介したりしています。精神科医療の形態も多様化してきましたが、超高齢社会の波が当院の周辺まで迫ってきています。 最近よくある話は、ずっと以前、当院に通院して一度は良くなったのだけど、最近また調子を崩したので、あらためて当院を受診したいという方です。古いカルテは残っていないし、患者さんの名前を聞いても思い出せません。このような人には初診枠をご案内し、精神保健福祉士の山田さんにあらためて生活歴や病歴を聴いてもらい、それでやっと思い出せる人もいますが、思い出せない人もいます。それでも、患者さんは私のことを覚えていてくれて、「あの時、先生にこんなことを言われました」などと聞かされ、私は「そ



