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シドクリ通信第104号

【はじめに】

 5月8日からCOVID-19の感染症法上の分類が2類相当から5類に変更されます。3年以上続いたコロナ禍もそろそろ終焉を迎えつつありますが、まだまだ油断は禁物です。今後も皆さまが身に着けた感染対策を忘れずに行動してください。院内では待合室に人が集中することを避けるため、時間通りの診療に心がけています。その他、公共のマナーの遵守にご協力ください。


【モラルハラスメントのわかりにくさ】

 臨床心理士の深谷です。モラルハラスメントとは、「言葉や態度、身ぶりや文書などによって、相手の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせること」で、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した概念です。家庭や職場、学校等の様々なコミュニティで起き、被害を受けると気分不良や身体化症状、トラウマ反応や他者への信頼の欠如といった心身の不調が長期にわたり、そのコミュニティから孤立することも珍しくありません。前回の号でパワーハラスメントのお話がありましたが、職場でのモラルハラスメントは上司から部下に対してだけではなく、部下から上司、同僚同士でも行われることがあるので注意が必要です。

 モラルハラスメントは非常に複雑な成り立ちをしていて、明確な言葉の暴力といった単純なものではありません。モラルハラスメントの発見や対応が難しいのは、攻撃と同時に攻撃の隠ぺいがなされる点にあります。モラルハラスメントで主に行われるのは言葉よりも身振りや態度による暴力です。例えば、ため息や舌打ち、鼻で笑う、無視等の否定や嘲笑を伝えるような身振りや態度をされたとします。ひとつひとつはとるに足らないもののように見えるので、最初の頃は被害者も気にしないように努めます。しかし、継続してそのような身振りや態度をされると次第に精神的苦痛を感じるようになっていきます。加害者側が言葉で精神的苦痛を与える時は、明確な言葉を使用せずに色々な解釈ができる抽象的な表現で暗に否定する、加害者と被害者の間でしか意味がわからないような言葉や物を使用して否定や嘲笑を伝えることが多く、被害者の周りの人達に中傷するような内容や、お互いに対立するような内容を伝えることによって被害者が孤立するように働きかけることもあります。これらは証拠を残すことが難しく、周囲はそれに気づくことができない、もしくは事態を把握できず被害者の捉え方の問題として扱ってしまうこともあります。また、モラルハラスメントによって慢性ストレスを感じた被害者が抵抗を示すと、加害者は「自分は(被害者から)〇〇された」「(被害者の)性格や捉え方に問題がある」等と被害者の立場をとって責任転嫁することが多く、そうするとますます周囲は事態を把握しにくくなります。

 モラルハラスメントの被害を受けた方は加害者と物理的に距離を置くこと、加害者の責任と自分の責任を混同せずに自分の境界線を守ること、できるだけ証拠を残して一連の流れを記録しておくこと、加害者の影響を受けていない信頼できる相手に相談しながら状況を共有することが大切です。周囲の人達はできるだけ被害者の話に耳を傾け、早急に事態を判断せずに時間をかけることで誤解を防ぎやすくなります。また、モラルハラスメントをしている自覚がある場合は、自身の内面や言動を振り返る必要があるでしょう。今回の内容で詳しく知りたいと思われた方は、一般向けのイリゴイエンヌの著書「モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない(紀伊国屋書店 1999年出版)」をお読みになってください。


【ピカソのポスター】

 院長の紫藤です。当院の待合室や診察室の壁には、大小10数枚の絵画が掛かっています。統一性はなく、内容はバラバラですが、患者さんが描いた絵、友人や知人が描いた絵、私が購入した絵など様々です。絵ではありませんが、水原希子さんが訪ねてきてくれた時の写真も飾っています。

 1つの絵を長く掛けていると飽きてくるので、時々、取り替えます。最近はピカソのポスター2枚を購入しました。「花束を持つ手」と「ネコとヒヨコ」という作品で、待合室の隅っこに並んで掛けました。

 「花束を持つ手」をよく見ると、右手が2本描かれています。ということは、この絵には2人が登場しているということです。人が人に花束を手渡すのはどのような状況でしょうか?いろいろ想像が膨らみます。花束が人から人へと手渡され、やがては世界中のすべての人々が繋がると素晴らしいと思います。

 次に「ネコとヒヨコ」です。ネコ好きな私としては、ヒヨコを虎視眈々と狙うクロネコの悪そうな顔が気に入りました。微妙な角度に曲がったネコの前足。一筆描きのヒヨコ。ヒヨコはネコに背を向け、怒っているように見えます。

 昨年暮れにピカソ展に行き、沢山のピカソの名作を見ましたが、クリニックの待合室にはこのようなシンプルな絵が似合うなあと思いました。


【お知らせ】

・当院は保険医療機関です。初診時と毎月初回の受診時には、必ず保険証をご提示ください。自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証をご提示ください。

・処方箋を受け取った方は、調剤薬局に提出する前に、必ず内容をご確認ください。

・最近、医療用医薬品の供給不足が続いております。当院では常に近隣の調剤薬局からの情報入手に努めていますが、医薬品の供給は流動的です。お気づきの点がありましたら、いつでもお申し出ください。

・4月1日よりマイナンバーカードのオンライン資格確認ができるようになりました。マイナンバーカードで保険診療を希望される方は、受付のカードリーダーをご利用ください。マイナ保険証をご利用の場合も、診察券や自立支援医療等の公費受給者証は、これまで通り受付にご提示ください。

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