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シドクリ通信第89号

【カジノとギャンブル依存症】

 横浜市にカジノができるという噂があります。わが国は2016年12月にIR推進法ができましたが、横浜市はIR施設誘致に活発な自治体であると言われています。IRとはIntegrated Resort(統合型リゾート)の意味で、カジノを中心に宿泊施設、テーマパーク、商業施設などを一体的に整備するリゾートのことです。候補地に上がっている場所は再開発が予定されている山下埠頭。ここは羽田空港にも近く、国際的な雰囲気があって、カジノの誘致に適しているそうです。これに対して、神奈川県精神神経科診療所協会はカジノ誘致に反対意見を出しました。

 私は元々カジノには興味がなく、ラスベガスにもマカオにも行ったことがありません。そもそもカジノは欧米人の社交の場として発展してきたので、日本人が行って楽しめる場所ではないと思います。日本人の場合、旅行の思い出にカジノを体験するレベルの話でしょう。世界のカジノをネット検索してみると、圧倒的にヨーロッパとアメリカに偏在しています。アジアのカジノはほとんどが観光カジノです。ですから、日本人が一度カジノをやると病みつきになって、ギャンブル依存症に発展していくという論理には無理があると思います。

 しかし、パチンコ・スロットの場合は、すぐに病みつきになって、パチンコ・スロット依存症になってしまう人は沢山います。パチンコ・スロットは日常的なギャンブル、カジノは非日常的なギャンブルです。日常的なギャンブルを繰り返していれば、依存は一気に進みます。

 ところで、IR施設として国が認めるのは僅か3か所程度のようです。それしかないということは、国内のIR施設に行くだけでも大旅行になります。たまたまIR施設の近くに住む日本人がカジノに溺れる現象も想定されますが、かなり例外的なものでしょう。経済界や産業界はIR推進法を後押ししていくと思いますが、果たしてカジノとはそんなに儲かるものなのでしょうか。

 それでは、医療団体としてこれを容認するのかと問われれば、私は容認すべきでないと思います。依存症になる可能性は大きくなくても、治安の悪化、風紀の乱れなど、様々な問題が予想されるからです。違法カジノが出てくるかも知れません。将来、法律が変わって認可施設が30か所や300か所に増えるかも知れません。さまざまな危険を孕む問題でもあるので、私は反対したいと思います。

 先日“凪(なぎ)待ち”という映画を見ました。石巻を舞台にギャンブル依存症をテーマにした映画です。ギャンブルの悲惨さに、救われない気持ちになりました。

【学会探訪】

 毎年6月は学会シーズンです。この時期、精神科で最も大きな学会が新潟市であったので、代診の先生に留守番をお願いして出かけてきました。この学会には精神科医1万8千人のうち6千人が参加したため、新潟市内は全国から、あるいは海外からの精神科医で溢れ返っていました。

 私はこの学会の役員をしているので、お役目がたくさんあります。自分がコーディネートしたシンポジウムが4本、教育講演の司会、一般演題の司会、専門医制度の発表、代議員総会での報告など、4日間ほとんど会場に張り付けになりました。

 学会会場にはちょっと顔を出すだけで、いそいそと観光に出かけていく同業者も目にしましたが、私は予定がびっしりで佐渡観光どころか市内の(密かに狙っていた)NGT48劇場すら訪れることができませんでした。

 しかし、役員をしているおかげで、最新の精神医学についてたくさん学ぶことができました。特に摂食障害、国際保健、トラウマケア、最新の薬物療法や研究成果などを学び、少しは利口になった気分になりました。

 会場のあちこちで旧知の精神科医に会いました。偶然会場で会って立ち話をしたり、一緒にお昼を食べたりして、有意義な情報交換をしました。夜は夜で連日、公的・私的な懇親会や飲み会があって、親しい友人・知人と旧交を温めました。新潟の海の幸を味わったり、繁華街に繰り出して歌ったり踊ったり、大いに気分転換しました。

 精神科医にとって、精神科医同士の他愛ないお喋りは楽しいものです。誰が教授になったとか、誰がどこで開業したとか、誰が奥さんとうまくいってないとか、そんな内輪話(外部の人にはどうでも良い話)に花を咲かせました。

 精神科医は患者さんの前では、精神科医としての役割を求められます。立場上、公的な見解を発することが多くなります。でも、精神科医もそれぞれが一人の人間ですので、本音で語りたいことも沢山あるのです。もしかしたら、学会は私たちの心の治療にも役立っているのかも知れません。

【お知らせ】

・保険証は毎月提示してください。変更があった場合は受付までお知らせください。

・自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証を提示してください。

・自立支援医療をご利用の方で保険証が変更になった場合は、お住いの地域の保健センターや役所への届出が必要です。

・処方箋の発行を受けたら処方内容に間違いがないかを確認し、早めに調剤薬局に提出してください。処方箋の有効期限は発行日を含めて4日間です。この間に提出ができない方は、処方箋の有効期限を延ばしますので、受付に申し出てください。

・8月26日(月)から31日(土)まで、夏季休診とさせていただきます。

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