シドクリ通信第92号

【新型コロナウイルス】

 新型コロナウイルス感染症に対し、今まで各国が取ってきた対策は、国境封鎖、在宅勤務、生活必需品などの買い物を除く外出制限、検査体制の強化、病床数の拡大などとなっています。一方、わが国が取っている対策は、政府要請による自粛(不要不急の外出自粛、全国一斉臨時休校)、専門家によるクラスター対策、厚労省・自治体・医師会による医療体制・隔離施設の確保などが上げられます。現在、感染症を扱っている病院は、患者数の増大や多発する院内感染で医療崩壊に瀕しています。4月7日には、法律に基づく「緊急事態宣言」が発出され、16日にはそれが全国に拡大されました。

 日本も含め、各国が採用している行動制限は、コロナウイルスのパンデミック防止に効果があるのでしょうか?行動制限によって人々の交流を減らすと、一時的に感染拡大は抑えられるようです。しかし、行動制限を緩めれば、再び感染が拡大します。その一方で、行動制限は社会・経済活動に甚大な影響を及ぼします。また、不安や恐怖に駆られると人々はパニックに陥り、生活用品の買い占めに走ったりします。

 とても厳しい状況ですが、精神科医としては、患者さんのメンタルヘルスの役に立つことを考えたいと思います。

 精神科医の仕事は「人々の不安・恐怖を鎮めること」です。新型コロナウイルスに対しては、私たちは感染症の専門家の意見を聞きながら、患者さんの理解力に応じて噛み砕いて具体的に説明し、それに対する対策を指し示し、ひとりひとりの行動変容を促すことが必要です。患者さんの恐怖を鎮めることができれば、結果的に感染防止に役立つことにもなります。加えて、今後はコロナうつ、コロナDV、コロナ差別への対応も必要となるでしょう。あるいは疲弊する医療従事者のメンタルケアも喫緊の課題です。こうした患者さんへの働きかけは、精神科医ならではのものと思います。このようなことを地道に実行することが、間接的なコロナ感染症対策になると思います。

 私たちの当面の行動目標として、密閉、密集、密接を避けることが求められています。これらを避けることで、クラスターの発生を防ぐことができます。クラスターの発生条件が揃いそうな場所に行くのは止めましょう。新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染と接触感染で起きます。飛沫感染を防ぐには換気とマスク着用が効果的です。接触感染を防ぐには手の届くところをよく拭き取る、手洗い、洗顔、衣類やスマホなどの清潔保持が効果的です。

 今や人類は新型コロナウイルスとの戦争状態です。人類の英知を集めて、この難局を乗り切りましょう。

【精神科診療と新型コロナ】

 精神疾患は対人関係や社会性を失う病気です。ひきこもりといった言葉に象徴されるように、人との関係がうまく築けず、孤立していく人が多くいます。対人関係や社会性を取り戻す活動、例えばデイケア、デイナイトケア、地域活動支援センター、各種作業所などで実施される活動は、患者さんの社会性や孤立を改善するのに役立っています。

 しかし、現在のコロナ禍においては、自宅で静かに過ごし、人と接しないようにすることが、感染拡大防止に有用とされています。精神科治療の大原則と、感染拡大防止の大原則が正反対なのです。相反する課題をいかに両立させていくか、私たちに課せられたミッションは重大です。

 オンライン教育、オンライン診療、オンライン会議が俄かに注目されてきました。私は会議ではzoomを使っていますが、オンライン装置を直ちに精神科の保険診療に導入することは困難です。しかし、いずれは検討せざるを得ないでしょう。

 カラオケ、ライブハウス、バー、ナイトクラブなど、人間の気晴らしが自粛要請されています。ささやかなストレス発散さえ許さないこの病気。何と因果な病気なのでしょうか。

 私はいつもマスクを着用して診察していますが、マスク着用が患者さんに与える影響も気になります。目だけで表情が分からない医者に心を開けるものでしょうか?私にとっても、マスクで表情が見えない患者さんの心理は分かりにくく、マスクは本来精神科診療に適さないと思います。診察室では患者さんと私との距離を約3メートルに広げ、精神科診療のsocial distancingを確保しました。

 私は新型コロナの患者さんを直接扱うことはありませんが、今や感染経路不明の感染者が大多数を占めています。多くの人と出会う仕事はそれだけで感染リスクが高まります。常に「うつらない・うつさない」気持ちを忘れずに診療に励みたいと思います。

【お知らせ】

・保険証は毎月提示してください。変更があった場合は受付までお知らせください。

・自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証を提示してください。

・処方箋の発行を受けたら処方内容に間違いがないかを確認し、早めに調剤薬局に提出してください。処方箋の有効期限は発行日を含めて4日間です。この間に提出ができない方は、処方箋の有効期限を延ばしますので、受付に申し出てください。

【如月心理相談室】

 心理士の深谷です。2020年2月から「如月心理相談室」を開業いたしました。如月心理相談室では、EMDRを中心にしたトラウマケアカウンセリングを行っております(遠隔カウンセリング有り)。紫藤クリニックのスタッフの方々、患者様から学ばせていただいたことを忘れずに、精進して参ります。引き続き、紫藤クリニックにもおりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

https://www.kisaragi-counseling.com/

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