シドクリ通信第86号

【わが国の高齢化と介護保険】 精神保健福祉士 山田

 平成29年10月1日現在、日本の総人口は1億2,671万人。そのうち65歳以上は3,515万人で、総人口に占める割合は27.7%。これは世界で最も高い高齢化率です。以前はサザエさんに見るような三世代世帯が多く、昭和55年では全体の半数を占めていました。これが平成28年になると、夫婦のみの世帯が一番多く約3割を占め、単独世帯と合わせると半数を超える状況になりました。

 高齢化と家族構造の変化から、高齢者を社会全体で支え合う仕組みが求められるようになり、平成12年4月に介護保険法がスタートしました。この制度は、高齢者の自立を支援し、利用者がサービスを選択する利用者本位の制度です。また、給付と負担で成り立っている社会保険方式であることが、旧来の老人福祉と異なる点です。

 私たちは40歳になると自動的に介護保険の被保険者となり、40歳以上の皆さんは加入している健康保険から介護保険料を納めています。また、加入者の年齢に関係なく、後期高齢者支援金等の名目で高齢者医療等にあてられる保険料が徴収されています。普段あまり意識しないところで、私たちは高齢化社会を支え、支えられています。

 介護保険のサービス希望者は役所や地域包括支援センターに申し出ると、介護認定を受けることになります。認定調査員が住まいを訪問し、所定の調査票に基づいて調査項目が確認されます。この結果をもとに、コンピュータによる一次判定が行われます。

 一方、主治医は役所からの依頼を受けて、意見書を作成します。その後、介護認定審査会で、コンピュータでは測れない「介護の手間」が議論されます。そこで大切になるのは、医師が記入する意見書の特記欄です。介護度は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を時間に換算して判定されますので、普段診察をしている医師の意見が非常に重要です。適切な要介護認定を受けるために、普段から医師に丁寧に状態を伝えることを大切にしたいですね。

 超高齢社会に突入した日本ですが、高齢者がその人らしく自立した生活を送ることができる支援のあり方や、財政的に持続可能な制度の構築が求められています。

【ネット依存・ゲーム依存】 紫藤 昌彦

 私は毎年8月に区立小中学校のスクールカウンセラー向け研修会の講師を務めていますが、今年は要望の強かった「ネット依存・ゲーム依存」をテーマにお話させていただきました。2014年にはアメリカ精神医学会が「今後研究が進められるべき精神疾患」の一つとして「インターネットゲーム障害」を提案しています。また、本年6月にはWHOが「ゲーム症〈ゲーム障害〉」を新たな病気として認定していますので、タイムリーなテーマだと思いました。事前にカウンセラーの先生方から寄せられた質問リストを見ると、現在、学校現場が抱えている悩みがよく分かりました。

 ・ゲーム依存の背景にあるものは何か。

 ・周囲の問題意識は高いが、本人に困り感が低い場合の医療への繋げ方。

 ・不登校の子が家でずっとYouTubeを見ている場合の保護者に対してのアドバイスはどうしたらよいか。

 ・ゲームをやめさせるためにはどうしたらよいか。手をつけられないようになっている場合、病院の受診を考えるべきか。

 ・薬物療法は有効か。有効であれば繋げた方が良いケースはどのようなケースか。

 ・ネット・ゲーム依存のために昼夜逆転し不登校気味の子を持つ保護者に対して、学校としてスクールカウンセラーとしてできることのアドバイス。

 ・昼夜逆転した際の睡眠リズムの改善に向けてのアプローチ。

 精神科診療所において、私たちには何ができるのでしょうか。現実にはネット依存の若者に対し、ネット使用をコントロールしようとしても難しいことが多いのです。要は本人が自分の意思で行動を変えていくように支援すること、ドロップアウトを防ぎつつ、継続的に我慢強く見ていくことが必要です。特に困り果てている家族への対応は重要です。本人の暴言・暴力に困っているという相談には、「暴力は絶対に許さない」といった毅然として対応をするよう指導していきます。

 依存の背景にある要因、例えば現実が充実しているか、依存に引き込まれる要因はないか、学業不振やいじめなどがないかを検討する必要があります。そして、勉強、部活、友人関係などを充実させる工夫が必要です。また、他の精神疾患の合併が疑われるならば、それらの治療も並行して行います。本人が自らゲームのアカウントを消したり、スマホを使わない時間を増やしたり、アプリの数を減らしたりするのは回復の兆候です。スマホ・ネットが他のリアルな活動に置き換わっていくことが大切です。

 インターネットが私たちの生活に浸透して20年、インターネットゲームの普及はたかだか10年です。このわずかな期間に、それらが依存症を引き起こすまでに深刻化し、新たな精神疾患として認定されるに至りました。現代の子どもたちは、生まれながらにしてインターネットやインターネットゲームに接し、それらの正しい使い方を学ぶことなく自然に使いこなし、その結果として心身を蝕まれていきます。私たち大人は、この新たな病気の存在を真摯に受け止め、彼らのこころの成長を願いながら治療を進めていく必要があるのでしょう。

【お知らせ】

・保険証は毎月提示してください。変更があった場合は受付までお知らせください。

・自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証を提示してください。

・12月27日(木)から1月3日(木)まで年末年始休診とさせていただきます。

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