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シドクリ通信 第79号

March 4, 2017

開院20年を迎えました

 当院は今年1月で開院20年を迎えました。あっという間の20年でしたが、自分の選んだ場所で地域医療に一定の貢献ができたことは、幸せなことだったと思います。

 いつも患者さんを紹介してくださる診療所や病院の先生方、産業医の先生方、学生相談室の先生方、保健所・保健センターの保健師さん、福祉事務所のワーカーさん、施設職員の方々、養護教諭・スクールカウンセラーの方々など、関係機関の皆様に心より感謝申し上げます。

 先日、外務省医務官時代の後輩であるK先生がオーストラリアから訪ねてきてくれましたが、彼は20年前の開院お披露目会にも来てくれたので、その時の出席者の芳名録を引っ張り出してみました。当時、親しくしていた方々100人以上が来てくれたのですが、驚いたことにこの中の10人が亡くなっていたのです。あらためて20年という歳月の重さを実感した次第です。

 20年前に初診で見えた方は20歳年を取りました。元々は精神疾患で通院していた方が、次第に認知機能が落ちてきて認知症に変化していったり、足が弱ってきて独歩で通院できなくなったり、加齢の影響を受けていく方々も見てきました。

 高田馬場は学生、サラリーマン、主婦、高齢者、外国人などがいて、交通網が集中して乗降客も多いため、多方面から人々が集まります。世の中はあらゆる年齢層や社会階層で成り立っているので、多種多様な人々を相手にする方が面白いと思い、ここにいればいろいろなタイプの患者さんを見ることができると思ってこの町を選びました。

 都内の保健所に勤務していた頃、私は保健師さんたちが精神の困難ケースに四苦八苦している姿を見ていました。保健所の仕事はすきま産業と言われていて、医療や福祉の狭間にいる人たちを沢山抱えていたのです。ケースとしては興味をそそられるのですが、医療に繋がらない人をいかに繋げるか、いかに治療を継続させるか、厄介で非効率な仕事だと思っていました。しかし、将来自分が診療所を開業したら、すきまを埋めていくお手伝いをしたいとも考えていました。

 開業してみると、そういう医療に繋がりにくい人は沢山いるのですが、診療所でそれらの人々をケアするには地域連携を行うスタッフの存在が不可欠になります。そこで、途中から精神保健福祉士を常勤配置するようになって、今の山田で3代目になります。重大な家族病理を抱えている方、DV、虐待、トラウマ、依存などが絡んでいる方、それに加えて経済困難も抱えている難しい方が多くて、なかなか思い通りに進みませんが、精神保健福祉士を窓口にして地域連携を駆使することで、診療所でもある程度の対応は可能ではないかと考えています。

 開業当初は予約不要で診療していましたが、そのうちに混んできて、初診を予約制にせざるを得なくなり、今は再診も含めて完全予約制にしています。完全予約制にして患者さんの待ち時間が明らかに減り、患者さんのストレスは格段に改善したと思っています。さらに、新宿区の精神科診療所は20年前には10か所程度でしたが、今は50か所を超えましたので、開設初年は632人だった新患数は、昨年は212人と大幅に減っています。

 私は勤務医時代、ずっと公務員だったので、医療経済を意識したことがなく、診療報酬についてもまったく無知でした。開業して初めて、医療費は公定料金であること、一つの医療行為で得られる診療報酬は全国一律であること、数をこなさない限り収入は伸びないことを学びました。

 外来精神科医療の技術料ともいうべき「通院精神療法」の点数は、平成14年の392点をピークに現在は330点まで引き下げられました。最盛期の84%です。この数字からも我が国の医療費削減の危機的状況を理解していただけるものと思います。でも、真剣に患者さんと応対すると、診ることのできる数には限界がありますので、精神科診療所の運営にはこのやり方が最も適していると思っています。

 個人診療所といえども医療は公益的なものですので、私は以前から公的な活動をしたいと思っていました。たまたま公益社団法人である精神科の協会と学会の役員を引き受けることになったので、今はこの方面にも力を注いでいます。指定医問題、専門医制度、措置入院、地域移行、診療報酬など、精神科領域を取り巻く話題は常にエキサイティングで、自分なりに大変勉強になっています。

 以上、20年を振り返ってみましたが、自分の診療所が活動の拠点であることには変わりないので、これからも日々患者さんとの出会いを楽しみ、一期一会の精神で診療を続けて参りたいと思います。

 

終わりに

 日本老年学会と日本老年医学会は、現在は「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだとする国への提言を発表しました。心身が健康な高齢者が増えたためで、65~74歳は「準高齢者」とし、社会の支え手として捉え直すべきだとしています。

 我が国は超高齢社会に入り、今後も高齢化率の上昇傾向が続きます。現在、私たちは多くの高齢者を支えていますが、じきに支えられる方に回ります。未曾有の時代に入り、私たちは医療や介護のあり方を真剣に考えていかねばならないと思います。

 

お知らせ

 ・保険証は毎月提示してください。
 ・保険証に変更があった場合は、すみやかに受付までお知らせください。
 ・自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証を提示してください。
 ・自立支援医療をご利用の方は、保険証が変更になりましたら管轄の窓口への届出が必要です。

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