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シドクリ通信 第73号

September 10, 2015

ストレスチェック制度

 職場のストレスが原因でうつ病や適応障害を発症する人が増えています。最近の労働者が受けるストレスはますます増大しており、職場では過重労働、いじめ、パワハラ、セクハラなどが蔓延していると伝えられています。一流会社ですら多くの社員がメンタル不調に陥っていて、休職する人が増えているのです。

 そんな状況ですから、私のクリニックにもそのような患者さんが日常的に訪れてきます。職場のストレスにはいろいろな種類がありますが、よくあるのは職場の人間関係、仕事の量、仕事の質によるものです。

 さて、この12月からストレスチェック制度が義務化されることになりました。50人以上の職場を対象とする、一次予防と職場環境改善を目的とした制度です。

 ところで、一次予防とは何なのでしょうか。一次予防とは病気そのものを予防することです。感染症においては予防接種がこれに当たります。ストレスチェックにおいては、病気でないレベルの労働者に対して、この労働者が病気にならないためにはどうしたら良いのかを職場に対して提案することが求められています。

 事業者は労働者にアンケートのようなものを実施し、その結果、高ストレス者と判断された労働者には、希望によって産業医が面接し、職場の環境改善を行うことになっています。そしてその仕組みの中で、精神科医に紹介されてくる場合もあります。

 紹介を受けた精神科医は労働者に必要なアドバイスを行い、紹介元には職場のストレス原因を報告し、職場環境改善のための提案を行います。労働者に治療の希望があれば、治療に導入することもあると思います。

 いずれにせよ、ストレスチェック制度の導入により、労働者のストレスへの気づき、対処に必要な支援、職場環境の改善は限定的ながら進むでしょう。また、精神疾患の早期発見、早期介入につながる場合もあると思います。制度が定着するまで種々のトラブルが予想されますが、次第に産業医と精神科医の連携は深まってくるものと思われます。

 今まで病気になった人だけを見ていた精神科医が病気の予防に目を向けるのは有意義なことでしょう。しかし、過酷な職場環境の改善にこの制度がどれだけ切り込むことができるのか、それは制度を利用する人々の知恵にかかってくると思っています。

 

お知らせ

予約時間直前でのキャンセル、無連絡でのキャンセルが増えています。予約枠が一杯になると予約が入らなくなりますので、予約時間直前や無連絡でのキャンセルは、受診を希望される他の患者さんのご迷惑になります。変更等がありましたら早めにお知らせください。ご協力をお願い致します。

 

元少年Aの手記

 神戸連続児童殺傷事件の元少年Aが手記を出版したというので、購入して読んでみました。

 前半は一連の犯行内容とその時の自分の心情が描かれ、彼の心の闇の深さを知ることができました。後半は更正保護施設での生活が描かれ、彼の更正に多くの善意の人たちが関わっていることが分かりました。

 精神科医、犯罪心理学者、矯正・更正施設関係者、犯罪者支援に関わっている人々に広く読んでほしい内容と思いました。

 犯罪を起こした人は発言する権利もないかのような風潮には違和感を覚えます。どんな人でも発言する自由があります。元少年にとっても同様です。発言することは治療にも通じます。そしてこの本は、元少年にとっての治療的な意味を持った内容に思えたのです。

 しかし、この本が書店やネット販売で一般の人たちが普通に買えて、被害者家族の目にも触れる形で出版されたことに関しては、多くの疑問が残ります。

 元少年は「本を読めば皆様をさらに傷つけ、苦しめることになってしまう。それをわかっていながら、どうしても書かずにはいられませんでした」と述べています。

 出版すればあちこちに波紋を引き起こし、バッシングを受けることが分かっていて、何故これをそのまま出版したのか?例えば本人へのインタビューのような形で専門家の解説を含ませるとか、内容をもっと無害なものにするとか、いくらでも編集の工夫ができたのではないか。

 そこが最大の問題と思いました。

 不可解な少年事件が増えている中、多くの大人がそれぞれの立場で、もっと責任を持った行動を取るべきではないかと思いました。そして、このような重大な事件を風化させることなく、一つ一つ検証していくことが大切なのだと感じています。

 

終わりに

 この春、精神神経学会の理事と東精診の副会長に就任しました。私にとってはクリニックの診療が最も大切ですので、今までこのような院外活動は診療の合間にやってきました。

 しかし、最近はそれなりの年齢になってきたせいか、次第に重要な役職が回ってくるようになりました。そして、内容によっては診療時間に掛かってしまう場合が出てきました。

 開業してそろそろ19年になりますが、地域に根付いた精神科医として診療してきました。毎日同じことの繰り返しですが、日々新しい発見があります。自分はこの診察室から世界を見ているのだという自負もあります。

 しかし、自分が経験したことは自分だけのものですが、他の精神科医もさまざまな経験をしています。そこで、多くの精神科医の経験を集め、大きな団体から精神科診療所の医療を発信していくことも大切だと思うようになりました。

 まあ、最近、そんな心境になってきたということなのです。

 患者さんにご迷惑がかからないように、なるべく代診医を立てようと思います。そのつど院内に掲示しますのでお目通しください。

 というようなわけで、今回の通信は5ヶ月ぶりになってしまいました。ご容赦ください。

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