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シドクリ通信 第69号

July 10, 2014

認知行動療法

(臨床心理士 深谷篤史)

 皆さん、はじめまして。4月から紫藤クリニックで臨床心理士として勤務することになりました、深谷篤史です。紫藤クリニックに初めてきた時、とても暖かい雰囲気の職場だなぁと思いました。それに加えて、紫藤クリニックは猫の置物がたくさん置いてあるので、動物が好きな私にとってとても素敵な空間です。

 今後、少しでも患者様が望む生活に近づくことができるように、臨床心理士としてお力になれればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は認知行動療法(CBT)の考え方でカウンセリングを行うことが多いので、今日はこの場をお借りしてCBTのことを簡単にお話したいと思います。ここ最近、CBTは世間での認知度が上がっているので、聞いたことがある方もいるかもしれません。CBTでは便宜上、人の要素を「認知(考え)」、「行動」、「気分・感情」、「身体反応」の4つに分けています。そして、これら4つの要素はお互いに影響を与え合っていると考えます。

 例えば、こんな感じです。“私が受付の山田さんに挨拶をして返事が返ってこなかったとしましょう。その時に、「無視された。嫌われてしまったのではないか。」と考え(※認知)、気分は憂うつや不安でいっぱいになります(※気分・感情)。そして、私は「嫌われてしまったかも。」と考えているので(※認知)、山田さんを避けるという行動をとったり(※行動)、山田さんと会う時にドキドキしたり、緊張したりします(※身体反応)。その後、山田さんが「あ、おはようございます。」と声をかけてくれますが、私は緊張しているので(※身体反応)、上手く返事を返せません(※行動)。その反応を見た山田さんはキョトンとして、キョトンとした山田さんを見た私は「やっぱり僕は嫌われているんだ。」と考えて(※認知)、ますます憂うつと不安でいっぱいになって(※気分・感情)、ますます山田さんを避けて(※行動)・・・”といった感じです。このように、「認知(考え)」、「行動」、「気分・感情」、「身体反応」はお互いに影響を与え合っています。この4つが悪循環にはまると辛い状況となるわけです。

 そんな時、私が「いやいや、ちょっと待てよ。本当に嫌われているのか?嫌われたかもしれないけど、忙しくて聞こえてなかっただけかもしれないしなぁ。」と一度立ち止まって考え直すことができたら、その後どう違っていたでしょうか。また、リラックスする方法を使って緊張をほぐすことができたら、その後どう違ったでしょうか。さらに、「嫌われているかもしれないけど・・・えーい!山田さんにもう1回元気に声をかけてみよう!ダメもとで。」と仮に行動することができたら、その後どう違っていたでしょうか。もしかすると、4つの悪循環から抜け出せるかもれません。

 そんな風にCBTでは認知、行動、気分・感情、身体反応の中から変えやすいものから変えていくことで、悪循環を切って良い循環を作っていきます。CBTの良いところは研究結果に基づいた“変える技術”を学ぶことで“自分で良くしていく(セルフコントロール)”ことを目指すことにあるでしょう。もちろん、普段から習慣 となっているものを変えるのは時間がかかるものですし、右利きから左利きに変えるようなものなので最初はやりにくさを感じるかもしれません。CBTを学ぶ中で大変なこともあると思いますが、一緒にできる範囲からコツコツやっていけたらと思っています。

 

視覚障害をもつ医師

(紫藤昌彦)

 精神神経科で最大の学会である日本精神神経学会が横浜で開催され、私は3日間の会期のうち1日だけ参加してきました。16会場にシンポジウム、教育講演、一般演題などがびっしり詰まっていて、黙々と講演会場を渡り歩く会員でごった返していました。

 その中で私は「日本における視覚障害をもつ精神科医の現状」というシンポジウムを聴いてきました。事前にこの抄録を読んで、視覚障害をもつ精神科医がいるという驚きと、彼らがどんな日常を過ごしているのかとの興味で、是非参加してみたいと思っていたからです。

 2001年に医師法が改正され、視覚や聴覚に障害があっても医師免許を取得できるようになりました。そして、法改正後に2人の全盲の視覚障害者が医師国家試験に合格し、2人とも精神科医になりました。シンポジウムにはその2人を含む3人の全盲の精神科医が登壇しました。

 最初に登壇した医師は、進行性の眼疾患と診断された後に医学部を卒業して精神科医になり、その後全盲になりましたが、現在も病院で精神科臨床に従事しています。

 2番目に登壇した医師は、強度の弱視で医学部を卒業するも医師国家試験に不合格。医師法改正により国家試験に再挑戦して合格し、現在は精神科病院に勤務しています。

 最後に登壇した医師は、医学生時代に発症した病気により全盲になりましたが、医師法改正により国家試験に合格し、現在はクリニックで精神科臨床に従事しています。

 日常業務はクラーク、看護師、研修医などがアシスタントとなり、音声パソコンなども使いながら、カルテ、診断書、処方箋、紹介状などの文書業務を行っているようでした。また、月数回の当直をしている医師もおりました。どの医師も聴くことの重要性を強調しており、患者さんの声の調子、会話の流れに神経を集中させています。また脈診を大切にしている医師が多く、視覚情報がない中で、それ以外の機能をフルに活用して診療を行っている様子が理解できました。

 ある医師は、患者と治療者との関係の中で、「患者は普段言葉にしなくとも、治療者が盲人であることへの不安や不満を抱いていると感じることがある。しかし、治療者を声掛けや手引きで労ってくれることもある」と述べていました。

 学会のシンポジウムですから、どの医師も冷静に自分について語っていましたが、視力を失った時の不安や悲しみ、先の見えない喪失感情はいかばかりであったかと思います。しかし、自らがこのような苦悩を経験してきた医師だからこそ、患者さんの苦悩にも共感できる面もあろうかと思います。

 視覚情報はわれわれ人間が利用できる情報の 90%以上を占めているといわれます。学会という場で視覚障害をもつ医師が自分を語る企画は初めてのことですが、とても考えさせられる内容でした。

 

お知らせ

○4月から毎週火曜日に深谷篤史臨床心理士が心理検査、カウンセリングを担当しています。

○8月1日(金)から6日(水)まで、夏期休診とさせていただきます。

○9月23日(火、祝)は、東京都の精神科救急当番医療機関として9時から17時まで診療いたします。

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