シドクリ通信第98号

【主治医の第一声】

 『メンタルヘルスマガジン・こころの元気+』(コンボ刊)は当院で定期購読している雑誌で、バックナンバーが待合室のラックに刺さっています。その2021年8月号は「担当医のどうですかって何?」という特集でした。冒頭の木村きこりさんの漫画にあるように、診察時の担当医の第一声がテーマです。私は「〇〇さん、どうですか?」という言葉で診察を始めます。長年、患者さんに発している第一声ですので、私の習い性になっています。

 アンケート調査の結果によると、主治医からの質問として「どうですか?最近どうですか?」を上げた人が断トツの一位。次いで「眠れていますか?」「何か気になることはありますか?」「困っていることはありますか?」と続きます。

 「利用している医療機関の形態や規模は?」という質問に対しては、クリニックが54%、他科併設の病院が30%、精神科の単科病院が15%で、クリニックが半数以上を占めています。私が若い頃は現在のような精神科クリニックはほとんど存在せず、精神科と言えば総合病院精神科か精神科病院でしたので、外来の精神科医療も随分変わったものだと思います。

 「現在の治療方針の決め方は?」という質問に対して「担当医が治療方針を説明し、良いと思ったら同意をし、いやだと思ったら断ることもある」という項目を答えた人が40%で最も多く、次いで「自分と担当医や他のスタッフと情報を共有し、意見を交わしながら一緒に治療方針を決めている」が23%で、患者さんと担当医とのコミュニケーションが十分に取れていることが分かります。最近ではSDM(shared decision making、共同意思決定)と呼ばれますが、患者さんと医師が情報を共有し、選択肢を話し合って、双方で適切な治療ゴールを見つけ出していく診療の形が主流になってきました。一方、「担当医が治療方針をすべて決めて、それに従っている」が23%など、医療のパターナリズム(父権主義)を選択した人もいて、まだまだ課題は多いと思います。「今の担当医にどれくらいの期間、診察を受けているか?」という質問に対しては10年以上32%、1年~5年くらい26%、5年~10年くらい24%と、初診患者さんには気の遠くなるような長い期間が上がっていますが、精神科医療は時間がかかることが分かります。

 当事者視点の情報誌から教えられることは沢山あります。興味のある方は待合室でお読みください。「こころの元気+電子版」でも読むことができます。


【久しぶりの学会参加】

 9月のシルバーウイークに国立京都国際会館に行ってきました。6月に予定されていた精神科で最も大きな学会が、コロナの影響で9月に延期されたためです。京都は東京同様、緊急事態宣言中でしたので、最後まで開催の可否が検討されました。その結果、昨年もコロナで現地開催ができなかったので、今年こそ開催したいとの意見が強く、ようやく開催に漕ぎ着けたのです。

 COVID-19感染関連の教育講演やシンポジウムなど、早急に議論すべき発表企画がたくさん含まれていたことも開催を後押ししました。一万人が収容できる巨大な会館に毎日僅か千人程度の参加でしたので、実にゆったりした贅沢な会でした。

 現地開催とweb開催を併用したハイブリッド開催で、会期後には自宅のパソコンで内容を視聴することができます。発表様式が入り混じり、座長や演者の欠席など、何でもありでしたが、運営上、著しい混乱は見られず、しっかりした業者の対応を感じました。

 思えば昨年初め、私たちの生活がコロナの影響を受け、必要に迫られテレワーク、web会議、オンライン診療などの技術が急速に進化したのです。昨年の前半は、音声が途切れたり画像が止まったりのトラブルが多かったのですが、今回の学会での洗練さを見ると、僅か1年半で技術が各段に進歩したことを感じました。まさに「必要は発明の母」なのです。

 あらゆる人間の営みは、精神医学的問題に繋がります。乳幼児の精神保健、学校・職場・地域の精神保健、妊産婦の精神保健、高齢者介護・医療・福祉、新型コロナウイルス感染症、大規模災害、国際疾病分類第11版(ICD-11)、司法精神医学、新薬の知見、医師の働き方改革など、精神医学の話題は尽きるところがありません。問題山積のこの分野、私たちは常に知識のアップデートが欠かせません。

 ところで国立京都国際会館には、50年以上前に中学校の修学旅行で訪れました。日本古来の合掌造り様式と現代的建築様式が融合した美しい建造物です。1997年には地球温暖化防止京都会議がここで行われ、京都議定書が採択されました。歴史のある由緒正しい会館で、天候にも恵まれ、緑の多い会館周辺での散策も楽しめ、初秋の京都を味わうことができました。


【お知らせ】

・当院は保険医療機関です。初診時と毎月初回の受診時には、必ず保険証をご提示ください。自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証を提示してください。

12月30日から1月6日まで、年末年始休診とさせていただきます。

・最近の傾向として、週の後半(金、土)に患者さんが集中していますので、時間が選べる方は、週の前半(月、火、水)の受診をご検討ください。

・新型コロナウイルス感染対策として、当院では待合室が密にならないように、時間通りの診療に心がけていますので、ご協力をお願い申し上げます。

・処方箋を受け取った方は、調剤薬局に提出する前に、必ず内容をご確認ください。

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