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シドクリ通信第103号

【はじめに】

 あけましておめでとうございます。このところ世界のあちこちで重大な事件が起きています。国内においては安倍元総理が凶弾に倒れ、それを契機に旧統一教会問題や東京五輪汚職が浮き彫りになりました。世界的には新型コロナウイルス感染症が4年目に入り、発祥地である中国で感染者が激増している模様です。ロシア・ウクライナ戦争の2年目への突入は必至で、両軍の死傷者は合計で約20万人に達したと言われています。世界が荒れてくると、人々の心も荒れてきます。今年こそ平和な年になってほしいと思います。


【コロナの功罪】

 コロナ禍の影響で私たちのライフスタイルは大きく変化してきました。私は多くの日本人と同様、自宅の外ではマスクを付けていますが、マスクによって自分の心が守られているような安心感も感じています。男性はマスクで無精髭を覆い隠し、女性はメイクの仕方が変わってきました。

 リモート会議やリモート講演会が日常的になりました。当院の昼休みの診察室はリモート会議室になり、夜の自宅はリモート教室になります。相手と内緒話ができない不自由さはあっても、わざわざ出かける手間よりも、居ながらにして会議ができる利便性の方が勝っています。かつて、忘年会や納涼会シーズンは、たくさんの予定が入っていましたが、コロナ以降はめっきり減りました。その分、一人飲みの機会が増えています。

 自宅での私は、上半身はワイシャツにネクタイ、下半身はパジャマでパソコンに向かっています。人にはお見せできない格好ですが、これが一番合理的なのです。リモート講演会はお酒を飲みながら聴いたり、iPadをビニール袋に包み込んで浴室に持ち込み、入浴しながら聴いたりしています。

 必要のない出勤、必要のない飲み会、必要のない交際など、世の中には必要のないものが沢山ある事がわかってきました。3年間のコロナ禍の影響で、私たちはコロナとの付き合い方を学び、コロナの功罪を見分ける力がついてきたように思います。通信機器や通信技術が進歩した今、私たちは新たなライフスタイルを手に入れました。

 しかし、社会人はこれでも良いのですが、学生さんは気の毒です。一度しかない高校時代、一度しかない大学時代をコロナで台無しにされてしまったという人がいます。感染症の猛威は避けられないことですが、不可避の状況と対面する中で、人生の意味を考え直し、新たな可能性を模索していく人もいます。コロナ禍が人生のトピックとして、いつか将来、静かに振り返ることのできる日が来ることを願っています。


【パワーハラスメント】

 パワーハラスメントに関する相談が後を絶ちません。平成28年度の厚生労働省の従業員調査によると、過去3年間にパワーハラスメント(パワハラ)を受けたことがあると答えた人が32.5%見られました。しかし、パワハラを受けた後、何もしなかったという人が40.9%もいて、同僚に相談した人16.0%、上司に相談した人12.7%を遙かに上回ります。多くの人はパワハラを受けても誰にも相談しないのです。職場におけるパワーハラスメントとは①優越的な関係を背景とし②業務上必要かつ相当な範囲を超え③労働者の就業環境が害されることの3点を満たすものとされています。

 パワハラをする人は、自分が仕事に熱心なあまり頑張れない部下が許せない、自己中心的で威厳を誇示したがる、自分に余裕がなく部下に当たる、自分もパワハラを受けてきたなどの特徴があるようです。職場におけるパワーハラスメントの類型として、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメント、カスタマーハラスメントなどがあり、その広がりはとても広いのです。

 カスタマーハラスメントとは、顧客や得意先からの迷惑行為を指します。営業や苦情受付の仕事などに従事する人がよく遭遇するハラスメントで、医療従事者、公務員、教員、介護職員などの間にもよく見られます。私が産業医や健康管理医をしている(していた)病院、研究所、大使館、裁判所、保健所、大学、民間企業など、どこに行ってもハラスメントの相談がありました。しかし産業医や健康管理医として組織(会社)から雇われる立場だと、医師の守秘義務とハラスメント対応との関係で扱いに困る場合も多かったと思います。 

 ハラスメント対策の義務化に伴い、昨年4月1日よりすべての企業を対象に「パワハラ防止法」が施行されています。企業規模が大きいほどハラスメントの取り組み率は高くなりますが、ガイドラインの作成、ケーススタディを含めた研修、相談窓口設置、ストレスチェックによる高ストレス者の医師面接などの取り組みがなされているようです。継続するハラスメントは自尊感情の低下やうつ病、不安障害、PTSDなどを引き起こします。管理的な立場にいる人は若い世代との接し方を見直し、時代とともに職場や職員の在り方が変わってきていることを理解しなければなりません。

 日々、患者さんとは落ち着いた雰囲気で診察したいと思っているのですが、スピードと正確さが求められる職場の厳しい環境においてハラスメントが生じやすく、悩ましい問題です。


【お知らせ】

・当院は保険医療機関です。初診時と毎月初回の受診時には、必ず保険証をご提示ください。自立支援医療をご利用の方は、受診の都度、受給者証をご提示ください。

・処方箋を受け取った方は、調剤薬局に提出する前に、必ず内容をご確認ください。

・最近、医療用医薬品の供給不足が続いております。近隣の調剤薬局とは絶えず情報交換をしておりますが、不都合なことがありましたらお早めにお申し出ください。

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